
脱サラして行政書士を目指そうか迷っているけど不安だなあ。
行政書士のメリットとデメリットを知りたい。
あとは行政書士が自分に向いているかどうかも知りたい。
こうした疑問に答えます。

本記事を書いている人
独立開業している弁理士。行政書士登録可能(弁理士試験合格のため)。ただし未登録。
弁理士・行政書士を含む士業の情報を発信中。
本年度の行政書士試験の受験者数は過去5年で最高を更新しました。
コロナ禍という特別な状況も考えられますが、行政書士を目指す人が増えているようです。
しかし、受験生の中には何のために行政書士を目指すかよく考えていない方も多いと思います。
せっかく行政書士をとっても失敗しないように、あらかじめ行政書士のメリットとデメリットをしっかりと理解しておくことをおすすめします。
本記事では、行政書士のメリットとデメリットを解説するとともに、向いていない人・やめとけと思う人の特徴についても解説していきます。
本記事の構成
1.行政書士試験を受けることの3つのメリット
2.行政書士になることのたった1つのメリット
3.行政書士になることの4つのデメリット
4.行政書士に向いていない人・やめとけと思う人とおすすめする人の特徴は?
5.行政書士のメリットとデメリットのまとめ
1.行政書士試験を受けることの3つのメリット
行政書士試験を受けることの3つのメリットは以下のとおり。
- 合格・不合格に問わず学んだことは無駄にならない
- 受験資格がなく誰でも受験できる
- 比較的合格しやすい(平均2年あれば合格)
順番に解説します。
①合格・不合格に問わず学んだことは無駄にならない
行政書士試験の試験科目は、専門的な科目ではなく、あなたが社会で生きていくために知っておくべき科目ばかりです。
具体的には以下のとおり。
- 基礎法学
- 憲法
- 民法
- 行政法
- 商法
- 政治・経済・社会
- 情報通信・個人情報保護
- 文章理解
特に、憲法・民法・行政法・政治・経済などはあなたの生活に直結する科目でして、学んで無駄になることはありません。
仮に合格できず途中で挫折をしたとしても社会のニュースについて理解を深めることができますし、教養力がつくでしょう。
一方、他の士業の場合、例えば弁理士の場合ですと、特許・商標などが試験科目ですが、これらは実用的な意味ではほとんどの人が役に立たないといえます。
②受験資格がなく誰でも受験できる
行政書士試験の場合、受験資格はなく誰でも受験できます。(年齢制限もないので小学生でも受験可能)
このため、学歴・年齢で不利な条件は課されず、資格で一発逆転の要素もあります。
一方、他の士業の場合、例えば社労士・税理士の場合ですと、関連業務の実務経験または大学で関連する単位を取得するといった条件が課されます。
③比較的合格しやすい
他の士業と比べると、行政書士試験は比較的合格しやすい試験です。
勉強時間は800~1,000時間くらいを目途に2年あればほぼ受かる試験といえます。
勉強時間と勉強法は「行政書士の勉強時間は何時間で独学合格できる?勉強法と過去問の使い方も紹介」の記事をご参考ください。
ただし、簡単と思って2~3か月くらいで受かるだろうと高を括るとえらい目にあうでしょう。
難易度は「行政書士の難易度と偏差値は簡単な方ではない理由【合格率はとても低いです】」の記事をご参考ください。
このように、行政書士試験は、勉強をしても損をしにくい試験といえますし、誰でも受けることができます。
ただし、行政書士試験に合格すれば、行政書士に登録しないと意味はありません。
では行政書士になることのメリットにどのようなものがあるのか。3つ紹介します。
2.行政書士になることのたった1つのメリット
行政書士になることのメリットは大きく1つだけ。
それは「独立開業しやすい・脱サラしやすい点」です。
脱サラがおすすめであることは過去記事でも詳しく解説。
さらに深堀すると、「独占業務がある」ことと「開業する上でのコスパがよい」ことから、独立開業しやすいといえます。
30~40代のサラリーマンが脱サラして起業する場合、行政書士の資格をとって独立開業するとコスパがよいといえます。
もしあなたが30~40代で脱サラして起業したいと考えた場合、メジャーなところでは、レンタルビジネス・マッチングビジネス・代行ビジネス・ショップ・飲食店の経営などが考えられます。
しかし、これらは誰でも参入できますし、初期投資も数100万円ほどと大きくかかります。
このため、独立開業・脱サラは魅力的ではありますが、敷居が高くなかなかやりにくいというのが現状です。
これに対し、行政書士の資格をとると、各省庁、都道府県庁、市、区役所などに提出する書類の作成と手続きの代行サービスが可能になります。
例えば、飲食店を開店するには「飲食店営業許可申請」を保健所へ提出しないといけません。
深夜営業でお酒を提供するお店の場合、「深夜における酒類提供飲食店営業開始届」を警察署へ提出しないといけません。
これらの書類の作成業務は行政書士の資格をとらないと代行できません。
資格をとらないとできない業務は独占業務と呼ばれており、行政書士のみがこれらの独占業務を担当できるのでここでライバルが淘汰されます。
行政書士の仕事内容は「行政書士の仕事内容を仕事がないのかも含めてわかりやすく解説」の記事でさらにくわしく解説しています。
また、行政書士の仕事は書類の作成であり、作成自体に初期投資は大きくかかるものではありません。
年間の登録費用とレンタルオフィス代(行政書士はバーチャルオフィスは禁止)はかかりますが、初期投資は30万円ほどです。
参考記事。
このため、起業ビジネスとしては比較的安めで起業でき、しかも参入障壁があるため、独立開業しやすいという点が行政書士の大きなメリットです。
さらに、行政書士は他の士業と違って、巨大事務所が存在しません。
巨大事務所が存在すると、仕事のほとんどが奪われてしまいます。
しかし、行政書士の場合、たいていは一人事務所のため、仕事はうまく分散されています。
ただし、注意してください。
必ずしも独立開業して成功するわけではありません。以下に行政書士のデメリットを3つ紹介します。
3.行政書士になることの3つのデメリット
行政書士のデメリットは以下の3つ。
注意ポイント
①行政書士の登録者数が多すぎる。
②単発の仕事が多いので年中仕事をとってくる必要がある。
③行政書士の求人はないと思ったほうがよい(独立開業向けの資格)
行政書士の登録者数は34,000名ほどです。(参考:https://www.mentoragent.org/shoshi/news/topics/news20180604/)
これに対し、司法書士の登録者数は15,000名ほどであり、2.2倍に相当します。
司法書士でも仕事がないと言われているので、行政書士はさらに同業内で競争が激しいといえます。
実際に、行政書士の廃業率は3年以内に90%以上と言われており、とても高めであることに注意してください。(実際はそこまで高くないみたいですが。詳しくは過去記事をご参考に。)
また、これほど廃業率が高い理由として、単発的な仕事が多く、特定のお客さんから定期的に仕事がもらいづらいという点も関係しています。
年中仕事をもらいにいく必要があるということも注意したほうがよいです。
そして、さらに行政書士の求人と言うのはほぼなく、行政書士の資格はほぼ独立起業のための資格ととらえたほうがよいでしょう。
弁理士の場合、独立開業で失敗しても特許事務所に勤務すればよいという出戻りの救済措置がありますが、行政書士の場合、このような救済措置はないと思ったほうがよいです。
以上のとおり、行政書士を受けようと思うなら覚悟をもっておくことをおすすめします。
行政書士より難易度が高めですが弁理士の資格はこれらのデメリットはほぼないのでおすすめです。
弁理士については「弁理士試験の概要・ガイドのまとめ記事」のまとめ記事をご参考に。
4.行政書士に向いていない人・やめとけと思う人とおすすめする人の特徴は?
以上のとおり行政書士のデメリットをまとめましたが、それでも独立開業しやすい点にかわりません。
開業しやすいが成功しにくいということです。
しかし、マーケティング(集客)がうまい方、マーケティングをこれから勉強していけば成功する確率はぐんと上がります。
要は営業能力が高いのであれば行政書士は向いていますし、苦手な人は向いていない・廃業する確率が高いといえます。
開業で成功する秘訣について過去記事でも詳しく解説していますのでご参考に。
5.行政書士のメリットとデメリットのまとめ
行政書士試験を受けることの3つのメリットは以下のとおり。
- 合格・不合格に問わず学んだことは無駄にならない
- 受験資格がなく誰でも受験できる
- 比較的合格しやすい(平均2年あれば合格)
行政書士になることのメリット
- 「独立開業しやすい・脱サラしやすい点」
行政書士のデメリットは以下の3つ。
注意ポイント
①行政書士の登録者数が多すぎる。
②単発の仕事が多いので年中仕事をとってくる必要がある。
③行政書士の求人はないと思ったほうがよい(独立開業向けの資格)
行政書士で成功するにはまず試験に早めに合格することです。
過去記事で勉強法を解説していますのでご参考に。