
士業一本で食べていけないと言われるからダブルライセンスがおすすめらしいが本当なのだろうか。
「周りと差別化」「専門分野を広げる」ためにダブルライセンスを目指した方がよいのかなあ。
こうした疑問に答えます。

この記事を書いている人
- 弁理士資格者。
- 現在弁理士で独立開業。
- 経験に基づいた試験勉強法を発信。資格スクエアのYoutubeチャンネルにて勉強法を発信。
結論から言うと士業のダブルライセンスは筆者の考えではおすすめしません。
実際に、筆者は、行政書士と弁理士の資格をもっていますが、弁理士のみしか登録していません。
弁理士のケースに限らず、行政書士と他の士業の組み合わせについてもあてはまりうると思います。
そこで理由を本内容でくわしく解説していきます。
本内容の構成
1.士業のダブルライセンスはおすすめしない理由
2.ダブルライセンスより士業1本にしぼることをおすすめする
3.士業のダブルライセンスのまとめ
1.士業のダブルライセンスはおすすめしない理由
士業のダブルライセンスをとるメリットとして、「周りと差別化」「分野が広くなり集客しやすい」などが言われています。
正直、筆者の意見としては微妙のように思います。
士業のダブルライセンスがおすすめしない理由は以下のとおりです。(筆者の独断と偏見です。)
①単純に資格をとるのに時間がかかる(稼ぐのに時間がかかる)
②複数の資格をとるだけでは稼ぎにくい
③実務能力の分散化により、かえって周りと差別化しにくい
④分野が広くなりすぎると仕事の効率化が悪くなる(仕事の処理速度が遅くなる)
⑤分野が広くなりすぎると集客の効率化も悪くなる(集客層をしぼりにくい)
順番に解説していきます。
①単純に資格をとるのに時間がかかる(稼ぐのに時間がかかる)
士業の資格は合格のために時間はかかります。
参考:「資格の勉強時間ランキング|2か月・1年でとれる資格は?徹底解説!」
行政書士(目安):半年~1年
社労士(目安) :1年
弁理士(目安) :2~3年
司法書士(目安):2~3年
士業の資格を1つとるだけでも、大変ですが、さらに2つ以上をとるとなると労力と時間がかかります。
正直、労力と時間の割に、ダブルライセンスをとるメリットはないように思います。
また資格合格は、士業の成功のためのスタートラインにしかすぎず、実務能力のために時間を使うべきであり、また別の資格をとることは、実務能力のための時間をまた別の資格勉強にあてないといけず、非効率のように思います。
②複数の資格をとるだけでは稼ぎにくい
また、複数の士業の資格をもっているだけでは転職に有利かもしれませんが、それだけで高収入を得られるわけではありませんし、独立開業をした場合でも集客につながらないと思います。
重要なのは、有資格と実務能力との組み合わせ(プラスアルファで集客能力(マーケティング能力)です。
実務能力が乏しい場合、資格を複数持っていてもあまり意味をなさないように思います。
③実務能力の分散化により、かえって周りと差別化しにくい
さらに、士業の資格を複数もっていると、業務の分野が分散化してしまい、各分野の実務能力も伸びにくくなります。
これは、例えば、ラーメン屋と、中華料理屋とを比較した場合、中華料理屋が出すラーメンよりもラーメン屋の方が美味しいということをイメージすればわかりやすいと思います。
確かに、複数の士業の資格をもっていると、1つの士業の資格をもっていない多数と差別化はしやすいように思われますが、複数の分野を対応することにともなって実務能力は悪い意味で差別化されてしまいます。
そうすると、かえって周りと差別化しにくいと言えます。
④分野が広くなりすぎると仕事の効率化が悪くなる(仕事の処理速度が遅くなる)
また、分野を広くすると、仕事の効率化も悪くなります。
1つの特定の分野にしぼって仕事をこなすと、これまでに積み上げてきたノウハウと経験を活かせますので仕事の処理速度は早くなり生産性が上がります。
これに対し、あらゆる分野を対応すると、それぞれの分野の積み上げも少ししかならず、仕事の処理速度は遅くなり、かえって収入が得られにくい状況に陥ります。
特にこの傾向は一人で事務所を開業する場合に顕著のように思います。
⑤分野が広くなりすぎると集客の効率化も悪くなる(集客層をしぼりにくい)
仕事の生産性だけでなく、分野を広くすると、集客層を細かく設定できず、集客も複雑化し、効率的でなくなります。
結果として、集客がうまくいかず稼ぎにくい状況を作り出してしまいます。
以上の理由により、士業のダブルライセンスはおすすめでないと思います。
では、これから士業でうまくいくにはどうすべきか、独立開業も含めて解説していきます。
2.ダブルライセンスより士業1本にしぼることをおすすめする
ダブルライセンスより士業1本にしぼることをおすすめします。
さらに、士業の中にはさまざまな専門分野があると思いますが、特定の分野を極める(特に独立開業する場合)ことをおすすめします。
例えば、筆者の場合、弁理士ですが、勤務弁理士のときは高収入を得られやすい化学・構造物分野の特許にしぼって仕事をしていましたが、独立開業では、集客につながりやすい商標(外内商標・内外商標)にしぼって仕事をしています。
特定の分野の内稼ぎやすい業務にしぼって専門性を深めていくことをおすすめします。
特に行政書士の場合、専門分野が広すぎですが、あれこれと絞らず例えば、建設業専門といったようにしぼっていくことがおすすめです。
参考:「【だから稼げない】30代開業行政書士が、業務で専門特化すべき理由について徹底解説!(外部リンク)」
3.士業のダブルライセンスのまとめ
士業のダブルライセンスがおすすめしない理由は以下のとおりです。(筆者の独断と偏見です。)
①単純に資格をとるのに時間がかかる(稼ぐのに時間がかかる)
②複数の資格をとるだけでは稼ぎにくい
③実務能力の分散化により、かえって周りと差別化しにくい
④分野が広くなりすぎると仕事の効率化が悪くなる(仕事の処理速度が遅くなる)
⑤分野が広くなりすぎると集客の効率化も悪くなる(集客層をしぼりにくい)
本ブログでは、これから士業を目指す方向けに士業(弁理士・行政書士)の勉強法も解説していますので次に読む記事としておすすめです。
それぞれの勉強法はこちらをご参考ください。